法律情報コラム(個人)

相続が開始(被相続人の死去)したとき考えなければならないこと

被相続人の死亡により相続は開始します。

相続は被相続人の財産に属した一切の権利義務を相続人が包括的に承継することをいうので、不動産や預貯金のような積極財産も、住宅ローンや医療費の支払義務、借金のような消極財産も含まれ、賃貸人の地位の承継のような法律的地位の承継も含まれます。

民法は、第5編で相続について、相続人、相続人が取得する相続分、遺産分割、相続の承認放棄、相続人がいないときの定め、遺言の方式と効力、遺留分等について定めています。平成30年7月に、民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律が可決成立し、2019年7月から施行されるので内容について注意する必要があります。

誰が何を取得するかを決めるのが遺産分割ですが、遺言書があるときは遺言が優先します。このとき、相続人は遺留分侵害額減殺請求をすることができますが、兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺産分割に期限はありませんが、相続又は遺贈により財産を取得した個人は相続税を払わなければならず、相続税の申告と納付は、相続開始の時から10か月以内に行わなければならないのでこの期限までに遺産分割が終了することが望ましいといえます。

今までは遺産分割が決まるまで相続人が単独で預貯金の払い戻しをすることは難しかったのですが、改正により、法定相続分の3分の1までは生活費や葬儀費用、相続債務の弁済のために預貯金の支払を受けることができるようになりました(ただし、一金融機関あたり150万円まで)。

また、今回の改正により相続人以外の被相続人の親族が被相続人の療養看護を行った場合には、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭請求をすることができるようになりました。