法律情報コラム(個人)

破産申立権者と支払停止

 支払不能(法人の場合は債務超過も)という破産原因が認められる場合、破産申立てをすれば、裁判所で破産開始決定を受けることができます。
 破産申立ては、債務者の住所地があるなどの管轄が認められる地方裁判所に対して行いますが,債務者である破産者が行えるのはもちろんのこと、債権者も破産申立てができます(破産法18条)。
 債権者も、自身の債権の弁済がされない状態が続く場合、債務者に破産してもらうことを裁判所に申立ができることになります。ですので、単なる1回の支払停止で債権者が破産申立て可能となると、債務者の経済活動は著しく阻害されてしまいかねませんので、「支払不能」という諸事情を斟酌して、今後支払ができない状態が一般的・継続的に認められる場合に限って破産原因としているわけです。
 しかし、債権者が、破産者の信用や労務状況を把握することは、破産者の決算書を内密に入手できれば可能かもしれませんが、そう容易ではありません。逆に、入手できないような場合こそ、債務者に破産してもらいたいような事情があるときといえるかもしれません。
そこで、「支払停止」があった場合、「支払不能」があると推認し(破産法15条2項)、債務者(破産者)が、逆に「破産原因」が「ない」ことの立証をする仕組みを破産法は採用しています。

(破産手続開始の申立て)
第18条 債権者又は債務者は、破産手続開始の申立てをすることができる。
債権者が破産手続開始の申立てをするときは、その有する債権の存在及び破産手続開始の原因となる事実を疎明しなければならない。