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【新型コロナ】店舗の家賃が払えない/払ってもらえない(更新)

「家賃が払えない」(テナントの立場から)

新型コロナウイルス感染拡大防止のために休業したり、収入が減少したりして、営業場所である店舗等の家賃が支払えず、困っている事業者もいらっしゃることと思います。

この点、都道府県の休業要請や時短営業を受けた場合などは、テナントは店舗を使用したくても使用できません。そこでたとえば、賃借物の一部が滅失等の理由で使用できない場合の賃料減額制度(民法611条)を使って、賃料の減額ができないかと検討されることもあります。

しかし、今般の事態は、時間はかかるかもしれませんが、いずれ終息するものですから、もはや賃借物が失われてなくなってしまう「滅失」と同じに考えるのは難しいかもしれません。また、そもそも都道府県から休業等の要請を受けていない場合は、店舗を「使用できない」とも言えず、なおさら難しそうです。

そうだとしますと、テナントとしては、やはり賃貸人との合意により、家賃の一時的な支払猶予や減額を実現するほかありません。

この点、国土交通省は本年3月31日付で各不動産関連団体に対して、その加盟事業者に対し、家賃の支払猶予など柔軟な措置を取るように依頼しています。

https://www.mlit.go.jp/common/001340555.pdf

また、法人税の関係でも、賃貸人が家賃を減免した場合に、減免分は寄附金とはならず、損金算入できる扱いとなる場合もあることとされ、税務上の後押しもされています。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/faq.pdf

お困りのことがあれば、当事務所にご相談ください。

 

「家賃を払ってもらえない」(賃貸人の立場から)

テナントが都道府県から休業要請や時短営業の要請を受けて休業するなどして、家賃が支払えなくなった場合に、支払猶予や家賃の減額や免除を求められることがあると思います。

そのような場合、それらの求めに応じずに、賃料不払いを理由に賃貸借契約を解除することも考えられます。この点、賃料の不払いも、信頼関係を破壊する程度に至っていなければ賃貸借契約を解除することはできないと解されており(判例)、これまでの実務では3か月程度の不払いが必要と考えられてきました。

しかし、新型コロナウイルスの影響による賃料不払いは、テナントに責任があるわけではないため、従前同様に3か月程度でも信頼関係の破壊があるといえるのかは、疑問のあるところです。

また、平時と異なり、契約解除後したとしても、原状回復が困難であることや空室が近々に解消する見込みが薄いことなどを考えると、家賃の支払猶予や一時的減免に応じて契約を維持することも十分に考えられることです。

とはいえ、仮に家賃の支払猶予や減額を認めるとした場合、賃貸人側の経営も厳しさを増すことでしょう。そこで、それらを行なった賃貸人には、以下のような支援策が利用できるものとされています。

  • 家賃の減免分は、寄附金とされず、損金に算入できる場合があります
  • 固定資産税、都市計画税の減免
  • 税・社会保険料の納付猶予

(その他を含めhttps://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf参照)

お困りのことがあれば、当事務所にご相談ください。

(注)ご紹介した各種支援は、関係法令の成立後に実施が予定されているものも含んでいます。