法律情報コラム(個人)

破産手続と同時廃止,免責審尋手続

 先の「破産申立ての準備① 資産の調査⑵」のページで「同時廃止」という言葉が出ましたが,その説明をします。
 同時廃止とは文字どおり「同時」に「廃止」することなのですが,「破産開始決定」と「同時」に「破産手続」を「廃止」します。
 したがって,実態としては,破産手続は行われず,管財人も選任されません。結果,破産管財人の報酬も生じません。これを「同時廃止」といいます。
 破産をすると,破産者は債務の支払いを免れることになると一般に理解されていますが,それは「破産手続」と同時に行われる別の手続である「免責手続」において「免責許可決定」を受けて,はじめて債務を免れます。「破産手続」だけでは債務は免除されません。
 すると「破産手続とはいったい何をする手続なのか?」という疑問が湧いてきますが,破産手続は破産者の破産開始決定時の資産を換価・処分し,債権者に配当する手続と説明できます(無論,破産手続に付随して様々な処理も行うことになります。)。
 破産手続を開始決定と同時に廃止する「同時廃止」ですが,「免責審尋手続」は同時に廃止されません。ですので「免責審尋手続」は実施されます。
 東京地方裁判所では,同時廃止事件も,免責審尋手続である「免責審尋期日」を開催し,破産者を呼出しております。「同時廃止事件」でも,破産者は免責審尋期日への出頭が必要です。